飲食業界の文書電子化事例

飲食業界では、日々の売上報告、発注書、請求書、従業員のシフト表や勤怠管理、さらにはマニュアルやレシピに至るまで、今なお多くの情報が紙媒体でやり取りされています。これらの書類は店舗運営に不可欠なものですが、その管理・運用が店舗や本部のスタッフに大きな負担をかけ、生産性向上の足かせとなっているケースが少なくありません。

特に、複数店舗を展開する飲食店では問題が深刻化しがちです。各店舗からFAXや郵送で送られてくる膨大な書類を本部で集計・処理するには多くの時間と労力を要します。書類の保管スペースは事務所を圧迫し、過去の書類を探し出すだけで一苦労です。また、料理長や店長など、特定の従業員しか書類の保管場所や処理方法を把握していない「業務の属人化」も起こりやすく、担当者の不在が業務の停滞に直結するリスクを常に抱えています。情報伝達の遅延や、書類の紛失によるセキュリティリスクも、紙媒体ならではの根深い課題と言えるでしょう。

株式会社エー・ピーカンパニー

手書きの契約書は記入漏れや押印ミスなどの不備が常態化しており、「パーフェクトに記入されているケースの方が少ない」状況でした。不備が見つかるたびに、本社と店舗間で書類を郵送し直して修正する必要があり、契約締結までに大きなタイムラグと非効率なやり取りが生じていました。

電子化で得られたメリット

契約業務が電子化されたことで、人事部門の主な作業は「契約に同意し忘れている人へのリマインド」程度にまで激減。チェック専属のスタッフが不要となり、その人材を別の業務へ配置転換することができました。書類の不備自体も約1割まで大幅に減少し、本社と店舗間の確認作業にかかる時間が確実に削減されました。

郵送費用が不要になっただけでなく、今後、紙の書類を保管するための倉庫スペースを増やす必要もなくなりました。また、過去の契約内容を確認する際も、書庫から探し出す手間がなくなり、PC上で瞬時に検索できるようになるなど、管理業務の正確性とスピードが向上しました。

参照元：クラウドサイン公式HP（https://www.cloudsign.jp/case/2020/02/19/apcompany/）

叙々苑

コロナ禍で迅速な経営判断が求められる中、月次決算の確定が翌月20日までかかっていました。その大きな原因が、紙ベースのアナログな仕入れ・経理業務でした。全68店舗からフードファクトリー（セントラルキッチン）へ送られる納品伝票は1日に1,000枚にも及び、その内容をシステムへ手入力し、さらに本部で請求書と照合するという二重、三重の確認作業が発生。本部でも経理担当者2名が毎月約500社分の請求書を手入力するなど、バックヤード業務が従業員の大きな負担となっていました。

電子化で得られたメリット

受発注と請求書を電子化。店舗の発注データがそのまま納品・請求データと連携されるため、手入力と目視確認の作業が解消されました。その結果、月次決算の確定が翌月20日から5日へと15日間も短縮。請求書処理もCSVデータの取り込みで完了するようになり、業務効率が劇的に向上しました。これにより生まれた時間とデータを活用し、新たに仕入れ分析を専門に行う「購買管理係」を新設。店舗スタッフは伝票処理から解放され、叙々苑が最も大切にする「お客様へのサービス」に、より一層集中できる環境が構築されました。

参照元：株式会社インフォマート公式HP（https://www.infomart.co.jp/case/0203.html）