契約書の電子化について解説
契約書の電子化とは
契約書の電子化とは、すでに取り交わし済みの紙の契約書をスキャンすることで電子データ化した上で管理や保管をすることです。
また、契約書含めて企業内で取り扱う文書は、法律により保存が義務付けられているものがいつくかあります。義務が発生する書類の電子化についての法律をe-文書法と呼びます。
これまで3万円未満のものを電子化していましたが、2015年からe-文書法が改正されて、今後は契約書や領収書は金額等を問わず電子化が可能になります。
e-文書法の規制緩和があり、今後ますます契約書は電子化しやすくなっていくと言われています。
電子契約
電子契約とは、電子証明書によって電子データに電子署名をして、書面契約と同じ証拠力が認められるものです。とは言え、データは改ざんも容易にできてしまうため、タイムスタンプなどを使って、修正が加えられていない証明を示して いくことも必要になってきます。
契約書の種類
契約書は多岐に渡ります。
業務・業態によっても、どの契約書を取り扱う比重が大きくなるのかが変わります。ここでは、いくつかの契約書の種類について確認してみましょう。
- 機密保持契約書
秘密保持契約書(NDA)や守秘義務契約書とも同義の契約書。法人間や個人間などで締結し、関連業務で知り得た秘密を第三者に開示しない契約を取り交わした証書。 - 業務委託契約書
本来は自社で行うべき業務を他社に発注する際に取り交わす契約書。委託者と受託者の間で締結し、対価として支払われる報酬に関する記載も含まれる。 - 取引基本契約書
契約当事者間で、継続的に売買や製造委託など基本的な契約条件を定めて取り交わす証書。個々の発注に関しては個別契約となり、契約書を交わさずに効率的な関係を構築するのが一般的です。 - 代理店契約書
業種によっても範囲が変わってきますが、主にメーカーの代理として営業や販売活動をしてもらうための契約内容を定めた証書。売上額によって変動のある代理店側からメーカーに支払う手数料などについても取り決めが記載されています。 - 賃貸契約書
賃貸物件を借りるための契約書。民間では住居や駐車場が主で、ビジネスシーンでは賃貸の事業所などが当てはまります。賃料や更新料などの支払い義務、借主への通知義務などの記載があります。 - リース契約書
ファイナンス・リース取引の契約条項をまとめた証書です。リース会社とユーザー間のリース契約、リース会社とリース商材の売主との売買契約が軸で、この2点の個別の契約で成り立っています。物件であれば保守契約の締結も含まれます。 - 売買契約書
売主と買主の間で、時期、対象物の詳細、数量、金額、双方の取引者などの契約内容を明記した証書です。納品場所や支払い方法なども取り決め、当事者間で確認の上で取引が行われます。 - その他の契約書
分野を限定せずに、金銭消費貸借契約書、供給契約書、工事請負契約書、ライセンス契約書、担保設定契約書、雇用契約書、保証契約書、信託契約書、受益者変更契約書、著作権契約書、譲渡契約書、広告掲載契約書、出資契約書、商品運送契約書、製造物供給契約書、合併契約書、競業避止義務契約書など、他にも取り決め毎に多様に存在します。
改めて確認しておきたいこととしては、
契約をすることと、契約書を交わすことは全く別の事柄ということです。
契約書をきちんと取り交わし、
契約書が存在していないという状態をつくらないことが、
契約当事者の双方を守り、利することにつながります。
契約を締結したら、契約書を取り交わしましょう。
契約書の管理・活用方法
上述のように契約書は、事業の前進に伴ってどんどんと増えていきます。
そうなると今度は文書管理が事業課題の一つとして持ち上がってくるでしょう。
書面のみの保持であれば、
身近に置いておく必要があるため、
スペースの圧迫や検索性の低下で、
必要な時に必要な契約書を確認することが適わなくなりがちです。
オススメの文書管理は、
契約書をデータ化し、原本はセキュリティ水準の高い倉庫に保管することです。
データ化した契約書はいつでも手早く契約内容を確認でき、
原本が必要となる際は、倉庫からの移動の仕組みを整えておけば問題ありません。
身近なスペースを書庫として割く必要がなくなる、もしくは限りなく省略できるでしょう。
契約書の電子化において留意すべき点
ポイントは業務効率や検索性の向上、更新管理の簡素化、他の書類との紐付け確認が容易になる点です。
使いやすくならなければ意味がありません。
電子化によって、契約相手、契約種類、契約日、有効期限、更新に関する自動有無など、必要な時にすぐに対象書類を特定でき、確認すべき点をさっと把握できることが重要です。
また、契約書によっては覚書や図面などが付随していることもあるので、それらを紐付け管理できることも外せない要素です。有効期限が近い契約書について知らせるアラートが、何らかの形で通知される昨日も必要でしょう。
とはいえ、電子化業務は相応の手間とコストがかかります。
かといって中途半端に実施すると、かえって非効率を招くに留まることも心配されます。
投資が無駄にならないよう、計画立てて電子化を推進しましょう。
細かな懸念点は、業者に相談してみた方がより良い結果を導き出すことができるでしょう。
契約書の電子化するメリット
ビジネスシーンにおいて様々なメリットがあります。まず、書面のやり取りがなくなり、契約も簡単になります。契約するために持参し行き来する手間もなくなります。
そして、押印ミスや記入漏れ添付漏れなどといった書類ならではのミスも最小限に抑えられます。また、保管自体もデータとしてまとめられているため、長期にわたって保管する場合も、物理的なスペースや管理コストもかなり軽減できるのがメリットです。
契約書の電子化は法的側面でどうか
国も、前述のe-文書法や電子帳簿保存法など法律で電子契約書類を認めています。また、電子契約がより活用できるように法律も整備されてきています。
ただし、契約相手へ書面で交付することが法律上義務付けられているものも存在しています。その際には、顧問弁護士や役所などに、確認をした上で、正しく適切に運用していくことが必要になります。
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法とは、一定の条件を満たすことで契約文書は電子ファイルのまま保存してもよいというものです。法的に問題ないという状態にするためには、特定の条件をクリアしているかの確認が必要になります。
なお、電子帳簿保存法にて、電磁的記録の保存に関して定められており、契約文書を電子ファイルとしてそのまま保存する条件が規定されてます。なお、データを保存する場合と、出力した書面が混在は認められません。
電子署名法
契約における、個人・法人間でのトラブルについて、もしトラブルが起きた際、データ化された契約文書が法的証拠力をどれだけ持つのか、裁判上もどこまで有効なのかという点では、この法律によって、電子データでの契約の場合にも、正しく電子署名されていれば、紙の契約書(押印)と同じ法的効果が認められます。裁判の証拠としてももちろん同様です。
e-文書法
e-文書法(電子文書法)とは、企業活動に必要となるさまざまな文書を、紙ではなく電子媒体の形で保管しても良い、という法律です。その内容が認められるには様々な要件に対応が必要です。
詳しくは「e-文書法とは何か」で解説しています。合わせてご参考ください。
契約書を電子化する方法
目についた契約書を片っ端から複合機にかけて電子化を進めようとすると、計画がうやむやになるか、作業量が膨大すぎて手が回らなくなってしまう可能性があります。想定以上の工数がかかって、本来の業務がおろそかになってしまう…という状況にもなりかねません。
契約書の電子化をスムーズに進める方法は、現在の契約書の形式・保管方法を把握したうえで、契約書を用いる業務に支障が出ないような電子化計画を立てることです。
また、あらかじめ作業計画を立ててコスト算出をしておき、作業中も進捗が遅れていないか確認しながら進める必要があります。電子化は本筋の業務ではないケースが多く、工数がかかりすぎると他の業務を圧迫してしまったり、契約書の参照が必要な業務に滞りが出てしまう可能性があるためです。
自社で電子化を行なう場合
契約書の電子化を自社で進める場合は、以下のようなフローを取るとスムーズに対応できるでしょう。
- ヒアリング:契約書の量・保管方法・保管に関する要望を各部署に聞いて現状を把握する
- コスト算出:ヒアリングの結果をもとに、人員・作業日の決定・機材購入の有無などを算出する
- スキャニング:ファイル形式の統一
- 編集:ファイル名や格納場所の統一・OCR処理(画像から文字を抽出する)
- 確認:傾いたままスキャニングされていないか・番号が飛んでいないかなどの確認
- 電子化:システムへの登録
しかし、業種によっては契約書の数が多いあまり、自社で対応すると時間も手間もかかり、なかなか現実的でないというのが現状ではないでしょうか。
契約書は袋とじやホッチキス留めがされているのか、どのような分類方法を採用しているのか、どのように保管してほしいかをヒアリングしてまとめる必要があり、そもそも「忙しすぎてきちんとした分類ができていない」という状況もあるかもしれず、とても片手間でできる作業ではありません。
文書電子化サービス業者への委託でコスト削減できることも
片手間に契約書の電子化作業を外部に委託する、というのも一つの選択肢です。
契約書をばらし、分類し、複合機にかけるという「スキャニング」にかける人員コストを省くことができ、本来の業務に注力できるという利点があります。
契約書の数にもよりますが、自社で対応する人件費と外注費を見比べて判断するのが良いでしょう。
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契約書の電子化をお考えの場合は、コスト削減も見込める「委託」という選択肢もぜひご検討ください。