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カルテ電子化を外注するには
紙カルテの電子化を外注する際、多くの医療機関が「電子化したら紙を捨ててよいのか」「患者情報を院外に出してよいのか」でつまずきます。押さえるべきは、①法令・ガイドライン上の要件、②対象文書の選定、③委託先の選定という順序です。
※本記事の法令・ガイドラインに関する記述は2026年9月24日時点のものです。医療情報分野は改定が頻繁なため、実務判断では必ず最新版の原典をご確認ください。
紙カルテを電子化する前に確認する3つの論点
保存義務期間と、原本を廃棄してよいか
- 診療録:5年医師法第24条第2項
- 診療に関する諸記録:2年医療法施行規則第20条第10号(処方せん、手術記録、看護記録、エックス線写真など)
- 療養の給付の担当に関する帳簿・書類:3年保険医療機関及び保険医療養担当規則第9条(患者の診療録は5年)
※参照元
e-Gov法令検索 医師法(https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201)
医療法施行規則(https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100050)
保険医療養担当規則(https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50000100015)
e-文書法と厚生労働省令により、紙の医療文書を一定の要件下で電磁的記録として保存する道は開かれています。ただしスキャン=即廃棄ではありません。「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」企画管理編の第16章には、紙をそのまま残したまま利便性のために電子化する場合の節も設けられています。原本を置き換えるのか、紙と併存させるのかを先に決めてください。仕様も費用も、この判断で変わります。詳しくは電子化後の紙原本はいつ捨てる?をご覧ください。
電子保存の三原則(真正性・見読性・保存性)
- 真正性:保存期間中の改変・消去の有無とその内容を確認できる措置。作成の責任の所在の明確化
- 見読性:必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること
- 保存性:保存期間中、復元可能な状態で保存できる措置
※参照元
厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html)
この三原則が仕様書の骨格になります。真正性は電子化の記録や電子署名・タイムスタンプ、見読性は解像度と索引、保存性は保存形式と媒体の更新計画に対応します。
電子カルテ本体と、スキャン文書の位置づけの違い
「電子カルテシステムの導入」は診療録を最初から電子的に作成する仕組みで、医療情報システムベンダーの領域です。一方「紙文書のスキャン電子化」は既存の紙を電磁的記録に変換する作業で、スキャニング代行業者の領域にあたります。外注の対象は基本的に後者で、電子カルテ導入後も導入前の紙カルテや院外から届く紙は残り続けます。
電子化の対象になりやすい医療文書
紙カルテ・同意書・紹介状・検査結果
紙カルテは保管スペース解消の効果が大きい一方、量が多く状態のばらつきも大きいため、対象期間を区切った段階実施が現実的です。日々の業務改善では、索引化しやすい検査結果や共有頻度の高い同意書・紹介状のほうが効果を実感しやすい傾向があります。
レセプト・会計関連書類
療養担当規則にもとづく保存期間の管理対象で、監査・指導時に短時間で提示できることが求められます。請求月・保険者・患者IDなど、実際に検索で使うキーを索引項目に設計してください。
X線フィルムなどの画像
大判・透過原稿に対応した専用機材が必要で、一般書類とは料金体系が分かれるのが通常です。参照・保管目的に限るのか診断利用も想定するのかで画質要件が変わり、PDF/TIFFで保管するかDICOM形式でPACSに取り込むかも先に決める必要があります。
外部委託できる範囲と、院内で行うべき範囲
要配慮個人情報としての取り扱い
診療記録に記載された病歴や、診療の過程で医療従事者が知り得た診療情報は要配慮個人情報にあたるとされています(医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス)。一般的な社内文書のスキャンとは前提が異なる旨を、見積依頼の段階で明示してください。
委託先の監督義務と安全管理措置
個人データの取扱いを委託する場合、委託元には安全管理措置を講じる義務と、委託先への必要かつ適切な監督義務があります(個人情報保護法第23条〜第25条関係)。診療録等の外部保存についても、保存の責任は保存義務を有する医療機関等が負い、事故時の責任の所在を明確にしておくべきことが示されています。外部に出しても、医療機関の責任はなくなりません。
※参照元
個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」平成29年4月14日(令和8年4月一部改正)(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/iryoukaigo_guidance/)
委託契約に入れる条項
- 目的外利用の禁止と複製の制限
- 再委託の可否と手続き:原則禁止か事前承諾制か。再委託先にも同等の義務を課す旨
- 安全管理措置と作業場所の特定:作業区画の分離、入退室管理、媒体の持込持出制限
- 従事者の限定と秘密保持:契約終了後も存続する秘密保持義務
- 事故時の報告・是正:報告期限、連絡経路、損害賠償の範囲
- 終了後のデータ消去と原本の取扱い:消去証明、返却または機密廃棄の証明書
- 監査・報告を受ける権利:実地確認と定期報告
院外に持ち出せない場合の進め方
院内での立会い作業という選択肢
作業者と機材を持ち込み、院内の一室で電子化を行う方式(オンサイトスキャン)があります。原本が施設外に出ないため持ち出し禁止規程と整合させやすく、職員が立ち会えるため監督義務を果たしている実態も説明しやすくなります。一方、機材の設置・撤去やスペースの制約から、費用・期間はセンター作業より増える傾向があります。
診療を止めずに進める段取り
- 動かない文書から着手:一定年より前のカルテなど、当面参照されにくいものを先に処理
- 小ロットで反復:棚単位・年度単位で「抜き取り→作業→返却」を回す
- 取り出しルールの事前合意:作業中の原本が必要になった場合の連絡経路と所要時間の目安
- 試験施行と検収基準:数十〜数百枚で画質・索引・検索性を確認し、誰がどの基準で検収するかを先に決める
医療文書の電子化業者に求める条件
医療分野の実績
扱った文書種別(紙カルテ・同意書・紹介状・レセプト・X線フィルム)、処理規模と体制、院内作業の経験、電子カルテや文書管理システムへの取り込み実績を具体的に確認してください。実例は医療業界における文書電子化事例にまとめています。
Pマーク・ISMSなどの認証
プライバシーマーク(JIS Q 15001。現行審査基準はJIS Q 15001:2023準拠の構築・運用指針が2024年10月から適用)やISMS(ISO/IEC 27001)の保有は出発点ですが、重要なのは適用範囲です。実際に作業を行う事業所が認証範囲に含まれているかを、登録機関の公開情報で照合してください。
作業体制と教育
- 作業区画の分離:施錠区画での作業、他社案件との物理的分離、入退室記録
- 従事者の限定と教育:案件ごとの従事者特定、秘密保持誓約、定期的な教育
- 資格者の配置:文書情報管理士など有資格者の在籍
- 品質管理と事故対応:検品方法、ページ抜けの検出、インシデント発生時の報告手順
費用の基本は「枚数」と「原本の状態」です(見積もりは「枚数」から)。よく見る「A4白黒1枚あたり数円〜」は、状態の良い書類を大量に最小限の仕様で処理する場合の下限値とされています。
電子化後の運用(参照権限・監査ログ・部門システム連携)
紙の時代の「保管庫の施錠と持出簿」は、電子化後はアクセス権限と操作ログに置き換わります。
- 参照権限の設計:職種・役割ごとに必要最小限の権限を割当て、異動・退職時に確実に外す手順まで定める
- 監査ログの取得と点検:参照・出力・削除の記録を取るだけでなく、定期点検の運用まで決める
- 部門システム連携と索引の統一:電子カルテ/文書管理/PACSのどれに取り込むかで必要な形式と索引項目が変わる
- 運用管理規程への反映:取扱いを規程に位置づけ、責任者を明確にする
まとめ|要件確認→対象選定→委託先選定の順で進める
業者を先に決め、後から法令要件や院内規程との不整合が判明すると、仕様のやり直しにつながります。まず保存義務期間と電子化の位置づけを確認し、次に効果の出やすい文書から対象を選び、最後にその仕様を満たせる委託先を選ぶ——この順序が最短です。 要件が固まったら、複数社に同条件で見積もりを依頼し、単価だけでなく作業場所・体制・検収基準まで含めて比較しましょう。
安心して任せられそうなのはどこ?
書類/文書の電子化サービス業者11選
文書/書類電子化サービス業者11社ををそれぞれ比較しました。
11社のスキャニングの品質管理体制・セキュリティ・サービス内容を紹介します。
| 会社名 | 品質 | セキュリティ | サービス | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 文書情報管理士 | ISO9001 | Pマーク | ISO27001 | 出張対応 | e-文書サービス | |
| ジェイ・アイ・エム |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 宏和 |
○ | - | ○ | - | ○ | - |
| うるるBPO |
○ | - | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 大塚商会 |
- | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| アクセア |
- | - | ○ | ○ | - | - |
| シスプロデータプロ |
- | - | ○ | - | - | - |
| 川又感光社 |
- | - | - | - | - | - |
| 株式会社日本パープル |
○ | - | ○ | ○ | - | - |
| 東武デリバリー株式会社 |
- | - | ○ | ○ | - | - |
| ヤマトシステム開発 |
- | ○ | ○ | ○ | - | - |
| パナソニック文章電子化・ 管理ソリューション |
- | - | ○ | - | - | - |
ジェイ・アイ・エム
| 品質 | 文書情報管理士 | ○ |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | ○ |
| e-文書サービス | ○ |
大塚商会
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | ○ |
| e-文書サービス | ○ |
DNP
| 品質 | 文書情報管理士 | ○ |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | - |
日本レコードマネジメント
| 品質 | 文書情報管理士 | ○ |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | ○ |
日立ICTビジネスサービス
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張サービス | - |
| e-文書サービス | - |
SRI
| 品質 | 文書情報管理士 | ○ |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | - |
日本通信紙
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | ○ |
| e-文書サービス | ○ |
富士フイルム
| 品質 | 文書情報管理士 | ○ |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | - |
2024年4月22日時点にGoogleで「書類電子化サービス」と検索して公式HPが表示された上位20社の内、品質やセキュリティに関わる『ISO9001』『Pマーク』『ISO27001』を取得している外部委託の企業8社をピックアップ。
関連ページ
文書/書類電子化サービス業者を比較
サイト内で掲載されている業者を品質・セキュリティ・サービス面それぞれの重要項目を比較してみました(調査日時:2021年11月)。スキャニングで業務効率化を図りたい方は、必見です。
| 会社名 | 品質 | セキュリティ | サービス | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 文書情報管理士 | ISO9001 | Pマーク | ISO27001 | 出張対応 | e-文書サービス | |
| ジェイ・アイ・エム |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 宏和 |
○ | - | ○ | - | ○ | - |
| うるるBPO |
○ | - | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 大塚商会 |
- | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| アクセア |
- | - | ○ | ○ | - | - |
| シスプロデータプロ |
- | - | ○ | - | - | - |
| 川又感光社 |
- | - | - | - | - | - |
| 株式会社日本パープル |
○ | - | ○ | ○ | - | - |
| 東武デリバリー株式会社 |
- | - | ○ | ○ | - | - |
| ヤマトシステム開発 |
- | ○ | ○ | ○ | - | - |
| パナソニック文章電子化・ 管理ソリューション |
- | - | ○ | - | - | - |
ジェイ・アイ・エム
| 品質 | 文書情報管理士 | ○ |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | ○ |
| e-文書サービス | ○ |
宏和
| 品質 | 文書情報管理士 | ○ |
|---|---|---|
| ISO9001 | - | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | - | |
| サービス | 出張対応 | ○ |
| e-文書サービス | - |
うるるBPO
| 品質 | 文書情報管理士 | ○ |
|---|---|---|
| ISO9001 | - | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | ○ |
| e-文書サービス | ○ |
大塚商会
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | ○ |
| e-文書サービス | ○ |
アクセア
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | - | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張サービス | - |
| e-文書サービス | - |
シスプロデータプロ
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | - | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | - | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | - |
川又感光社
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | - | |
| セキュリティ | Pマーク | - |
| ISO27001 | - | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | - |
株式会社日本パープル
| 品質 | 文書情報管理士 | ○ |
|---|---|---|
| ISO9001 | - | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | - |
東武デリバリー株式会社
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | - | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | - |
ヤマトシステム開発
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | ○ | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | ○ | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | - |
パナソニック文章電子化・管理ソリューション
| 品質 | 文書情報管理士 | - |
|---|---|---|
| ISO9001 | - | |
| セキュリティ | Pマーク | ○ |
| ISO27001 | - | |
| サービス | 出張対応 | - |
| e-文書サービス | - |






